みなさんは、夏といったら何を思い出しますか?
おそらく、多くの方が「夏祭り」や「盆踊り」を挙げることでしょう。
それくらい日本の伝統的な夏の行事として、わたしたちに根付いている盆踊りですが、そもそも、なぜお盆に「盆踊り」が行われるようになったのでしょうか。今回のこのコラムでは、そんな夏の定番行事である盆踊りにスポットを当て、その文化的な背景も含めて見ていきたいと思います。
★目次
☆盆踊りの歴史的な由来とは
盆踊りの歴史的ルーツを探っていくと、日本で初めて盆踊りが登場したのは、はるかさかのぼること昔、平安時代だと言われているんです。
空也上人による念仏踊りが「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と結びつき、次第に、お盆に帰ってきたご先祖様の霊を迎え慰め、彼岸へ送り返す仏教行事へと変遷を遂げていったのだそうです。
さらに、盆踊りに関しては、その土地土地の住民たちによって、次のような話も語られているそうです。
参考までに少しご紹介しますね。
・帰ってきた霊を供養し、無縁仏などを安らかに送り出すための舞
・帰ってきた霊を、自分たちの踊りに誘い込みながら送るための舞
・帰ってきた霊に楽しんでもらうための舞
・供養のおかげで成仏できた精霊たちの喜びを表す舞
その後、盆踊りが太鼓を叩いたり音を鳴らしながら踊られ、その華やかさが前面に出てくるようになったのは、室町時代のあたりからとされています。
そして、他の伝統行事と同様に、時代の流れとともに宗教的意義がだんだんと薄まっていき、民衆的な娯楽として広がり、定着して現代に至るようなのです。
現代においては、特に地方では、帰省した人々の再会の場や地域交流の場、さらには男女の出会いや求婚の場としても親しまれる多面的な機能さえも提供する場面ともなっています。
そして、みなさんが持っているイメージと同じ「夏を楽しむお祭り行事」として、全国各地で開催されています。
☆夜通し踊る盆踊り?
もうひとつ盆踊りに関するエピソードをご紹介します。
実は、盆踊りは、かつては夜通しで踊られていたということです。
旧暦の7月15日は「十五夜(じゅうごや)」、そして、16日は「十六夜(いざよい)」。
つまり、いずれかの夜には、月が満ちて満月となるため、照明のない時代でも空は明るくて、オールナイトでお踊りに没頭する環境が整っていたということなのでしょうね。
さらに月の引力のせいで人の気分も高揚すという説もあり、盆踊りには最適だったのではないでしょうか。