結納とは、結婚するということの約束を公に確認する儀式ですから、2人だけの問題では済まされないオフィシャルな色彩を帯びたものになります。結納では、両家がこれから親族になって結びつくということを祝い、男性の家から女性の家に対して結納品や結納金を贈るという慣習があり、これに対して、そのお礼として女性の家から男性の家へ贈られる品物やお金が、「結納返し」ということになります。結納や結納返しは、そんな公式行事ですから、知らなかったでは済まされないポイントもいくつかあります。そこで今回は、結納返しに関する押さえておきたいポイントについてご紹介していきます。
●伝統的な結納返しの品目とは?
すでに触りでご紹介したように、結納返しは、男性の家から女性の家へ贈られる結納品や結納金に対するお返しとして、女性の家から男性の家へお贈りするものです。そんな結納返しの品目について、地方によってもさまざまなバリエーションがあることを踏まえつつも、一般的な例を挙げてみたいと思います。
目録
結納返しの品物の内容を記載しています。
熨斗(のし)
本来は「干しアワビを伸したもの」ですが、近年は紙で模したものが一般的になっています。これも簡略化の流れのひとつです。
御袴料(おんはかまりょう)
もともとは「男性の袴を仕立てるお金」という意味があると言われています。近年は、お金ではなく、スーツや時計などの記念品を贈ることも多くなっています。
子生婦(こんぶ)
成長が早く繁殖力の強い昆布というところから、子宝に恵まれるようにとの思いが反映される縁起物です。
寿留女(するめ)
新婦さんが長持ちしながら幸せになってほしいという願いを込めています。長持ちする保存食であり、かめばかむほど味が出ることに由来していると言われています。
友白髪(ともしらが)
白い麻糸を白髪に見立てたもので縁起物として入れられます。「ともに白髪になるまで」との意味が込められています。
末広(すえひろ)
扇子のことです。白無地の扇子を一対用意します。
家内喜多留(やなぎだる)
宴席の酒や肴に充てるお金が由来です。
●近年は結納とそれに伴う結納返しの簡略化と変化が顕著に
近年は、結納の儀式自体の簡略化の傾向が著しく、結納返しの伝統もかなり現代風に簡素化されています。すでにご紹介した伝統的な品目に変えて、通常のお返しとしてギフトを贈ることが多くなっています。
結納返しの金額については、結納品よりやや控えめ程度が相場です。あまりに高額でバランスが取れないものは避けた方がマナーに合っています。